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2015-04-24

薬種・香原料「牛黄(ゴオウ)」


「牛黄(ゴオウ)」

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牛黄」と書いて「ゴオウ」と読み、胆嚢胆管などに出来た「結石胆石」であり、千頭に1頭の割合でしか発見する事が出来ないので、非常に貴重な物になります。
さらに中国の生薬古書「本草綱目」(1590年)では「これ以上高価な薬物は無い!」と記載されており、その効き目だけではなく、を大量屠殺出来なかった時代では入手が非常に困難だと分かります。

また近年では牧場の衛生・栄養管理がさらに厳しくなりましたので、(結石胆石)を持ったはより少なく、「牛黄(ゴオウ)」は益々貴重な生薬となりました。

牛黄」は約1センチ~4センチ不規則な球形をしており、時にはの取れだサイコロの様な形をしております。
さらには赤みがかった「黄褐色」で重さは軽く、割ると中身は木の年輪の様な同心円状の層があり、に含むと心地好い苦みと微かに甘みがある物が良品とされています。 

極めて貴重高価な物なので、古くから(ウコンを練り固めた物)や(白泥を牛の胆汁と混ぜ合わせて作った物)など様々な「偽物」が出回っていましたが、現代では科学分析技術が進んているので、この様な偽物は殆ど輸入しなくなりました。
しかし偽物が消えた訳ではなく、しかも粉末にすると更に区別が難しいので、購入する際は十分に注意を払う必要があります。


「分布・起源」

牛黄」に関する記載は日本最古の法典「律令」で既に記載されており、内容は「国の所有する馬や牛が死んだら皮や角などを集める、特に(牛黄)を発見したら必ず中央政府に献上する」という決まりでした。
しかも注釈書に牛黄に関する説明が全く無い事から、この頃(7世紀頃)では既に多くの民間人が牛黄は薬用になる物だと理解している様です。

そして中国最古の薬物書「神農本草経」では約365種類の薬物が記載され、「上品」、「中品」、「下品」の3品に分けて記載されています。
その中で「牛黄」は「上品」の部類に分類されています。

*「上品」:無毒で長期服用が出来る養命薬。
*「中品」:毒にもなり得る養性薬。
*「下品」:毒性が強く長期服用が出来ない治病薬。

また、5世紀北インドで成立した大乗仏教の主要な経典「金光明経」にも既にサンゴロカナスクリット語で「牛黄」である「崖庭折郷」の記載があり、これによって「牛黄」は最初中国インドで薬として使われ、その後仏教と共に日本に伝わったと考えられます。

現在主の生産国は(オーストラリア、アメリカ、ブラジル、インド)など、大規模な食肉加工設備がある国が中心ですが、BSE問題で北米産の牛黄の使用が禁止され、さらに中国での需要が以前より高まっているので、国際価格は上昇しています。


「用途」

現在日本では「日本薬局方」という医薬品の公定書に収載され、漢方薬で(滋養強壮薬、風邪薬、強心薬、小児用薬、胃腸薬)など様々な医薬品として使われています。

お香」の原料として使う事は極めて珍しいですが、近年中国では、牛黄をイメージした香料を使用して作られた「お香」を作ったり、さらに「人造牛黄」を作るなど、牛黄をこれまで以上に利用しようと考えております。


「香り」

に含むと、心地好い苦みと微かに甘みがあります。

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2015-04-24

薬種・香原料「一角(いっかく)」


「一角(いっかく)」

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主に北極圏に生息している(クジラ目ハクジラ亜目イッカク科)の小型クジラ「イッカククジラ(一角鯨)の」であります。
体長はで約4.7m、雌で約4.2mに達し、雄の体重は1.5tに達する事もありますが、は殆ど1tにも満たさない。
全体的に胸びれは短く、成体では先端が上方に反り、背びれは持たない。

」を持っているのは「」のみです。

の持っている「」は非常に長い牙であり、この長い牙は「」が変形した物であります。
体長が最大で4.7m程度があるクジラに対し、その「角」は長さ3m重さ最大10kgにも達する事もあります。
通常は1本しか持っていないが、500頭に1頭程度の確率で1頭に2本持っている個体も存在します。

そして「雌」は角を持っていないが、約3%の確率で約1.2mの華奢な牙が生える事があります。
今ではその生存数は少なく、国際的条例によって国内輸入は禁止とされています。


「分布・起源」

イッカククジラ(一角鯨)」を見れる海域は北極海北緯70度から北、大西洋側とロシア側であります。
多くは「ハドソン湾北部」、「ハドソン海峡」、「バフィン湾」、「グリーンランド東沖」、「グリーンランド北端」から東経170度辺りの東ロシアに掛けての帯状の海域で見らますが、目撃例の最北端は「ゼムリャフランツァヨシファの北(北緯85度)」で、北緯70度から南は殆ど見られていません。


「用途」

西洋ではユニコーンの角は解毒作用があると考えられていた為、中世ヨーロッパでは多くの商人が「イッカククジラ(一角鯨)」の角を「ユニコーン」の角だと偽って販売していました。

そして日本江戸時代でもオランダ商人によって「イッカククジラ」の角が日本に伝わり、当時の百科事典「和漢三才図会」(1712年)でもイッカククジラ(一角鯨)が紹介されていました。
そして現在中国でも「解熱、解毒作用」があるとして漢方薬の材料として使われています。

ただ、現在「香料」の材料としては殆ど使われておりません

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2015-04-24

薬種・香原料「鬱金(ウコン)」


「鬱金(ウコン)」


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ショウガ科の植物の根茎で、主に輸出国インドの他にインドネシア中国バングラデシュ南アメリカ、さらにカリブ海の国々にも生産し、高温多湿の地域が好まれます。
非常に丈夫な多年草植物で、高さ1mにも及びます。

麝香の様な香りと美しい金色が良質とされ、特に南アジアでは香料着色料など広く使われています。
主に揮発油の(フェラドレン)と黄色い色素クルクミン)を含んており、別名「ターメリック」とも呼ばれています。


「分布・起源」

主要輸出国インド」の他に「インドネシア」、「中国」、「バングラデシュ」、「南アメリカ」、さらに「カリブ海の国々」など、主に南アジアで多く生産されています。

かつでマルコ・ポーロは旅先で「ターメリック」と出会い、「果実は(サフラン)に似ており、種類は全然違うが十分に代用出来る!」と書き残し、いずれサフランでの代用品として「ターメリック」は西洋で広まると予想しています。

また、東洋の国々では長い時期「染料」として使われ、さらに魔力を持つ物だと考えられ、「魔除け」としても使われて来ました。

ターメリック」での取引はホール(加工していない)の形で取引されますが、消費国では殆どパウダー状にして売られています。
ただ時々西洋のオリエンタルショップでは生な物を見る事も出来ます。


「用途」

主にカレーなど南アジアでの「料理」に使われる他、黄色い色素(クルクミン)も含んておりますので「染料」としても使われています。
また、中国漢方薬では「止血・健胃薬」の他に、「強状剤」や「肝臓の治療」にも使用されてきました。
さらに近年ではその健康効果が注目され、様々な健康食品にも配合される様になりました。

昔ではよく「香料」として使われて来ましたが、最近では殆ど使われていません


「香り」

オレンジジンジャー(生姜)を混ざった様な刺激的フレッシュな香りで、味はピりっとした苦みがあり、少し麝香と似ています。

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2015-04-24

薬種・香原料「薫陸(くんろく)」


「薫陸(くんろく)」

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インドイランの乾燥高地等に自生している(カンラン科植物のクンロクコウ類 )の樹脂であり、土中に埋まれて生じた半化石状樹脂であります。
固まった石の様な物で色は「黄褐色」や「暗褐色」をしており、琥珀と非常に似ているので、よく琥珀と間違われてます。
また、乳頭状の物は乳香と非常に似ており、「名医別録」では薫陸香の名は収載されていましたが、「本草綱目」では薫陸香乳香同一物だと扱われて来ました。

しかし今では中国でも日本でも薫陸香と乳香は完全な別物だと考えられています。

主に香料薬剤として使用され、かつては正倉院などにも古くから伝わり、「五香」に1つにも数えられるなど重要な香料でしたが、現在では使われる機会は少ない


「分布・起源」

インド」や「イラン」、「ペルシャ」、「インドネシア」等に自生し、さらに日本(岩手県・福島県)でも生産しています。
乳香と似ている為、中国の生薬古書「本草綱目」(1590年)では薫陸と乳香は同じ物だと扱われて来ました。

しかし現在では日本でも中国でも「薫陸香」は「洋乳香(マスチック樹脂)」であり、「乳香」は「カンラン科の植物の樹脂」、一方「薫陸香」はインドやアフガニスタンに生産している「ウルシ科のクンロクコウの樹脂」だと、全くの別物だと分かりました。

かつで古代オリエントエジプトで利用された乳香がインドに伝わり、インドでは乳香と似ていた「クンズルの樹脂」を乳香と混ぜて加工使用し、そして5~6世紀頃これが中国に伝わり「薫陸香」と呼ばれました。
その後8世紀頃、本物の乳香アラビアから伝わり、その為「乳香」と「薫陸香」区別が紛らわしくなったと言われています。


「用途」

主に薫陸香の「香料」の他に、「抗菌効果」もありますので漢方薬の呼吸器を治療する「薬剤」としても使われています。


「香り」

そのままだと爽やか苦味がしますが、焚く松の木を燃やした様な香りを漂います。

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2015-04-23

薬種・香原料「排草香(はいそうこう)」


「排草香(はいそうこう)」

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シソ科の(カワミドリ)のを乾燥させた物で、主な産地は中国ですが、日本の(千葉県房総半島以西、伊豆、紀伊、四国、九州、沖縄)などにも自生しています。
漢方薬では「芳香性健胃薬」として使用されているが、日本では「薫香料」のみ使用されています。

は直立しており、稜があって高さは30~80cm。
は長さ1~2.5cmの葉柄 によって互生し、形は披針形で長さ5~10cmで両端は尖っております。


「分布・起源」

中国の生薬古書「本草綱目」(1590年)では既に排草香に関する記載があり、日本の植物学者「牧野富太郎」博士は「頭註国訳本草綱目」(1930年)でこれを(モロコシソウ)だと主張しました。
また、零陵香(れいりょうこう)という生薬があり、中国はこれを中国名の「霊香草」を当てています。
これが「モロコシソウ」なのか分からない。
ただ、「全国中草薬彙編」(1983年)では茎の下半部が地面をほうようになると記載し、その他はほぼモロコシソウに似ているが、零陵香起源植物は分からないまま、真相はまだである。


「用途」

防虫、防臭」効果が有りますので、部屋の中につるしたり、またはたんすの中に入れて服の防虫に使いました。
また、漢方薬では(鼻詰まり、歯痛、風邪によって引き起こした頭痛)などを治療に使ったり、駆風薬としても使用されています。

その他に清涼感のある香りを漂うので、昔から「薫香料」として使われたり、「お線香」の原料としても使われていた。


「香り」

優しいミントの様な清涼感な香りであり、尚且つ幽かな甘み持っています。


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